《5皿目》八十八夜
なーつもちーかづく八十八夜、ふーふふふふーふふふふーふふふふふふー…そんな歌も出だしくらいしか習った記憶がない私ですが、これは「茶摘」という歌です。八十八夜とは立春から数えて八十八日目が春と夏の変わり目で、茶摘や農作をはじめる時期ということを示しているそうです。
ちなみに今年は5月2日(月)でした。仕事していましたか? そうですか、お茶でもどうぞ…という暇も余裕もない現代人にとっては、茶と触れ合う機会なんて稀ではないでしょうか? 「心に茶の間を」ということでそんな忙しい人のために私のおすすめのお茶を勝手ながら紹介していこうかなと思っています。
①緑茶を飲みたいけど敷居が高そうで、手っ取り早くコスパいいお茶ないの?という方に
うおがし銘茶
https://onlineshop.uogashi-meicha.co.jp/shopdetail/000000000008/
高橋家でも御用達のお茶です。築地で有名なお茶屋さんですね。豊洲市場の方にも店舗はあるようです。温度は気にせずに滅茶苦茶に入れてもよし、たまに温度を下げて飲めばうま味もガッシリしたコシのある茶葉です。
②急須じゃオフィスで飲めんだろうという方に
福岡県八女市星野村の八女茶は個人的にコスパよくマスカット様の香り高く、うま味も強い茶を安定的に提供してくれていると思っています。それが気軽にティーバッグで飲めるなんていいですよね。マイボトル派にもおすすめです。
③日本茶の最高峰を知りたい方に
極茶人 - 手もみ茶
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世界一高い手揉み煎茶とも言われます。3g5400円とレアメタルのような値段ですね。小さな茶器(絞り出し)でその針のように撚った茶葉を煎れますが、しばらくするとふわっと1枚の元の葉に開きます。その見た目の芸術性と風味たるや、ただ圧倒されます。
極茶人を運営している比留間さんは伝統に縛られることなく、さまざまな茶品種や自ら考案した茶に紫外線を照射し香りを高める機械を考案するなど茶の探究者でもあります。
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こんな感じでまずはお茶に興味を持っていただけたら、今度はお茶屋さんに一度足を運んでいただけたらと思っています。
茶葉の目安として100g1000~円以上のお茶は上級煎茶、玉露になると100g2000~円ですが、前者の上級煎茶を選んでみると良いでしょう。また取り扱いが豊富なところであれば茎茶(かりがね・白折・棒茶)や芽茶など、あまり目にしない茶葉もあります。特に風味がわかりやすく、高級茶と遜色のない芽茶を飲んでみるのも面白いかもしれません。いうなればお買い得品のカステラの切れ端を集めたようなものが芽茶です。(←すごい怒られそうな表現)
チャノキは比較的温かいところでよく育つのですが、現在は茶の生産の北限が北海道まで伸びてきています。新たな試みを行っている方が多いので、若い人たちも興味を持ちやすいかもしれませんね。ノンアルコールペアリングの流行やハーブなどをブレンドした緑茶などの登場で、敷居がなんとなく高そうな茶の世界も怖くないのかなと思います。
もちろん世界にも緑茶があります。中国茶はその大半を占めており龍井茶(ロンジンチャ)や工芸茶の緑牡丹(リョクボタン)などは有名です。さらには茶葉の発酵(自己酸化や微生物発酵)、茶種を加えると沼になること請け合いです。気軽にティーブレイクを楽しんでいただければと思います。
以前、ご紹介した高知県大豊町の碁石茶の記事はこちら↓
さて冒頭に戻って、この八十八夜、八+十+八=米ということもあるとかないとかで、田んぼに稲を植えていく時期でもあります。二十四節気でいえば穀雨。今年は4月の末あたりで気温の上昇と恵みの雨が降って雑草と虫との戦いがはじまるなぁ良く出来てるもんだなあと感心した次第です。(※高橋は趣味程度の農業もやっています)
毎年お米の消費量が年々減っているという話を聞きます。その分、他の食文化が取り込まれているとも考えられます。世界で食糧危機も耳にしますが、それが輸入食材によるものだと困ってしまうのは明白です。有事の際には対処できるようリスク分散できる農業が長い目でみて良いのかもしれませんね。今年も良い実りとなりますように。
(文・髙橋貴洋)