食料品配達のパーソナライズ化を実現するHungryrootが約44億円を調達|AIで買い物を予測 

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AIを活用してパーソナライズ化された食料品デリバリーを提供するHungryrootが、シリーズCラウンドで4000万ドル(約44億円)を調達した

Hungryrootは調達した資金で、提供する食料品やレシピを増やし、チームを拡充し、自動化技術に投資するほか、パーソナライズ化のための独自技術を最適化し、マーケティングを拡大していく。

出典:Hungryroot

Hungryrootは機械学習と予測モデリング技術を活用して、顧客のニーズや目的に最適な食料品とレシピを予測・提案し、自宅まで配達するサービスを提供している。

顧客は初めて使用する時に、食習慣、目的、好み、家族構成などに関する調査を受ける。

Hungryrootは顧客のデータに基づいて、顧客のニーズを満たす食料品やレシピでカートを埋める。選ばれた商品が気に入らなければ、カートから削除したり追加したりできる。

プラットフォームで選ばれた商品は顧客の自宅までデリバリーされる。

購入した食品をユーザーが試し、レビューすることで、Hungryrootは顧客の好みやニーズをより正確に予測できるようになる。

この繰り返しで、回数を重ねるごとに、顧客への提案精度が上がり、欲しい食料品が自宅に配達される仕組みとなっている。

つまり、Hungryroot で買い物をすればするほど、顧客は買い物にかける時間・手間を減らせるようになる。

出典:Hungryroot

削減できるのは時間だけではない。

公式サイトによると、同社サービスを利用して買い物することで、1週間に22ドル(約2400円)を節約できるという。

Hungryrootの配達サービスは週毎のサブスクモデルとなっており、1回のデリバリーは59ドルから。必要のない週はスキップすることもできる。

多くの人にとって食料品の調達、ミールプランニングは手間のかかる作業だが、ニーズや家族構成などに基づいて正確に予測し、配達まで自動化することで、ユーザーの時間を節約することができる。
現に、同社のユーザー95%が買い物にかかる時間を節約できている。

Hungryrootの創業者でありCEOのBen McKean氏は、次のようにコメントしている。

「(Hungryrootのプラットフォームを活用することで)消費者が食料品の購入に費やす時間が週平均2~3時間から、わずか週平均2~3分に短縮します。
空のカゴをもって大きな食料品店に足を運び、何万もの商品を見る日常は、まもなく過去のものとなるでしょう。」(創業者・CEOのBen McKean氏 太線はライター)

出典:Hungryroot

コロナウイルスの発生によって食料品のオンライン購入やデリバリーのニーズが急増している。

Hungryrootは、ユーザーの好みやニーズを把握して、最適な商品を予測し、さらに自宅まで届けてくれる点で、パーソナライズ化された食料品デリバリーサービスといえる。

単に食料品を配達するサービスとは違い、ユーザーの手間を減らし、ユーザー好みで健康によい食料品を届けてくれる。

プレスリリースによると、Hungryrootは2020年始めから収益を上げ始め、今年は1億7500万ドル(約193億円)の収益を達成すると見込まれる。来年には3億ドル(330億円)以上の収益を予測している。

Hungryrootは2015年に設立されたニューヨークを拠点とするスタートアップ企業。

今回のラウンドは、L Cattertonのグロースファンドが主導した。クランチベースによると、これまでの調達総額は7540万ドル(約83億円)となる。

出典:Hungryroot

アメリカにはHungryrootのほかに、ダークストアとAIソフトを活用して食料品をデリバリーするFarmsteadがいる。

FarmsteadはAIを活用した独自のソフトを構築し、商品が欠品にならず、かつ、売れ残ることもない「ちょうどいい在庫量」を維持する仕組みを作り出している。

Farmsteadはさらに、実店舗からオンラインへ移行することが難しい実店舗経営者をターゲットに、ECサービスに特化したソフトGrocery OSをリリース、スーパーなど小売業のオンライン化を支援している。

AIを活用する試みには、食品の需要に影響を与えそうな学校行事、地元のイベント、休日、天候など関連データを小売データと統合することで、商品の需要を予測し、廃棄量や在庫切れを減らすShelf Engineの事例もあげられる。

出典:Hungryroot

Hungryrootも含め、AIを導入する小売業の事例が増えているが、食料品は小売分野で最大カテゴリーにも関わらず、「デジタルトランスフォーメーションの初期段階にある数少ない産業の1つ」だとMcKean氏は指摘。

日本でも食品の定期デリバリーサービスはあるものの、私のようにパルシステムが毎回おすすめの商品を過去データに基づき提案してくれないことに不満を感じている人もいると思う。

個人の買い物をパーソナライズ化するHungryrootが普及した未来の社会では、スーパーへ行くことが珍しくなりそうだ。

参考記事

Hungryroot Raises $40M Series C for its Predictive Grocery Service
Hungryroot Secures $40M Series C Led By L Catterton’s Growth Fund

出典:Foovo
https://foodtech-japan.com/2021/06/29/hungryroot/