《1皿目》誕生とともに食べる
創刊号、誕生ということで、先日子どもが生まれた私が最近の出来事をお伝えします。
■家に帰るそのときに…
母子ともに退院する日、病院のベテラン助産師さんがこんなことを。
助産師「昔は米のとぎ汁を飲ませたりしたんですよー。」
私&妻&子「!?!?」
助産師「あぁ、私の時代じゃあないわよぉ(笑)」
…ということでインターネットで調べてみるとそのような逸話がちらほら。戦時中は母乳が足りない場合、そのような対処をしていたとか。
(今ではもちろんとぎ汁を与えることは止められています)
日本でも米のとぎ汁や麺の茹で汁による水質汚染の問題は度々あり、特に米は無洗米を生むきっかけの一つとなっています。
インドなどでは「湯どり」という独特の方法で米を茹で、パスタのように湯から取り出して皿に載せ、蒸らして飯(めし)を作ります。ただ、この時の茹で汁を廃棄することで川の水質汚染が引き起こされるため、炊飯器導入の話がでているらしいです。
■ミルクの味
ヒトは産まれて数時間後には母乳を口にし、一生食べ続けることになります。
「人生で一番大事な 最初の1000日の食事(クレア・ルウェリンほか著、ダイヤモンド社)」によれば、受胎から2歳までの食事の影響はまだ解明されていないことは多いものの、子どもの成長や食欲などを左右することがわかっています。
そんなこと言われても、何を与えたらよいかはすべての親御さんを悩ますところ。まずは母乳と粉ミルク。半年もすれば離乳食なんかもはじまる…(離乳食は味分析済み…笑)。
子どもは胎児のときから味覚・嗅覚の学習をします。出生後も「毎日食べたもので変わる母乳」を介して、様々な食品のフレーバーを体験学習していく事がわかっています。私が母のお腹の中にいたときは悪阻がひどかったらしく、「そうめんとかんぴょう巻き」だけで育ちました(母談)。その結果、私は好き嫌いや味に疑問を持つことが多く、今の仕事をやるきっかけになっているのかもしれません(笑)。
子どもにミルクを与えるときにちらっと見える小さな舌の前方には、味蕾のある「茸状(じじょう)乳頭 」がひしめき、ミルクの味をしっかり感じているんだなと観察できます。実際、スタイナー等の実験では、味覚に関してはすでに甘味に関して良い表情、酸味・苦味に関して苦悶の表情をすると言われています。
■いろいろな粉ミルク
粉ミルクは日本製をはじめ、海外にも様々な製品があります。最近の粉ミルクにはDHAなども含まれており、(私は)わずかに魚の香りを感知しますので、これを飲ませておくと青魚も苦なく離乳食移行できるんじゃないかなとも思ったりしています。半年後の我が子に期待です。
あまり知られていませんが、アレルギー対応のミルクも存在し、アレルゲンであるタンパク質を分解した製品もあります。
この製品は、タンパク質が分解されて出来たペプチドやアミノ酸独特のうま味や苦味、後味、そしてにおいが生まれ、飲みにくさが多少あります。実際飲んでみると、特に海外製のもので驚きのまずさを感じることができます。
また、子どもは苦味に関しては敏感ですから、ミルクアレルギーの場合は早めに慣れさせる訓練が必要と言われています。これを通常のミルクのように飲みやすくしようと、苦味ペプチドの生成減少やマスキングの研究されている方は苦労をされていると思います。同時に、親御さんも大変な授乳期を経験せねばなりませんが、我が子の成長を第一に思う親心は、まさに「子育てに優ることなし」と言え、苦労をものともしないのでしょう。
最後になりましたが、日々の食の話題や発見をご飯のときに話したくなるコラム「ごはんのおとも」をよろしくお願いいたします。
(文・髙橋貴洋)