商社としての新しいチャレンジは商品企画・開発DX支援サービス「FOODATA」

イノベーティブなプロジェクトをリポート


2020年度の決算で2位以下を大きく引き離す圧倒的な純利益4,014億円で商社ランキング1位を獲得した伊藤忠商事。資源系の売り上げが大きい財閥系が商社売上ランキングの上位を独占してきた中で、非資源分野の利益が多く、2020年度の決算においても非資源分野利益が全体の7割を占める。

従来の商社のビジネスモデルで例のない商品企画・開発のためのプラットフォーム型DX支援サービス「FOODATA」は、その開発プロセスにおいても特徴がある。味・香り・食感等の「おいしさ」を可視化する株式会社味香り戦略研究所と、データ活用ソフトウェア・サービスを提供するウイングアーク1st株式会社が開発段階からコラボレーションをすることで、その専門性を生かし尚且つ、スピードアップを図ったという。

「FOODATA」ロゴ

本プロジェクトリーダーである伊藤忠食料カンパニーの塚田健人さんは、「消費者ニーズの多様化が加速し、商品サイクルの短縮と食のパーソナライズ化が進んでいます。各メーカーでは、商品企画・開発への期待感が高まる一方でその負荷も増大。また、フードロスの問題も重要視される中で、消費者の需要機転でバリューチェーンの再構築も課題になっています。こうした状況下において、ターゲットニーズを的確に捉えた商品をいかに早く市場に提供できるかが、競争力の源泉となります。その為には「勘と経験」をデータで裏付け、意思決定のスピードを高めることが不可欠となります」と語る。
本プロジェクトの立ち上げ前は、日本酒等の日本産食品の海外消費者向けのマーケティング業務に従事し、言語を超えて商品の美味しさを伝えることができれば販売の手助けになると痛感したことも、このプロジェクトを立ち上げた要因の一つだという。

「FOODATA」は味・栄養・原材料等の食品に関する「モノデータ」と、ID-POS・意識・口コミなどの消費者の行動・嗜好に関する「ヒトデータ」を掛け合わせ、その分析結果をダッシュボードで可視化できるデータ分析ツール。開発過程では、メーカー・卸・小売業等、約50社、200名超の企画・開発・マーケティング・MD担当者が協力し、現場の声を反映させた機能を追究しているという。

さらに、商品企画・開発プロセスの主要な取組課題であった、勘と経験の裏付けや、データ分析作業の短縮、データ取得コストの削減を実現。効率的にアイディアを検証できる環境を提供し、食品企業の商品企画・開発力の向上をサポートする。

「FOODATA」サービスイメージ図

塚田さんは、同サービスを起点に、商品拡販・原料調達・システム開発などの幅広いソリューションを提供し、顧客企業のビジネス拡大を共に実現するパートナーとしての役割をさらに強化したいとその思いを語る。

加えて、同取組を皮切りに、食のバリューチェーン上に散在するデータの収集・統合・活用のためのデータプラットフォーム構築を推進。データ・デジタル技術に対する企業間格差を縮め、食品業界全体のDX推進・バリューチェーンの価値向上に貢献していくそうだ。
今までにない、新たな取り組みに期待したい。

FOODATAhttps://www.foodata.jp
運営会社
伊藤忠商事株式会社 https://www.itochu.co.jp/ja/
共同事業パートナー
ウイングアーク1st株式会社 https://www.wingarc.com/
株式会社 味香り戦略研究所 https://www.mikaku.jp/